保育園運営の基本方針

子どもの個性を尊ぶ

8月に入り、徐々に来年度から保育園への通園をお考えの保護者様から、問い合わせや園説明会参加、園見学の申し込みも増えてまいりました。

ほんの数年前までは、小さなお子さまがいる保護者の方からすれば「保育園に入れる」ことが第一命題にならざるを得ず、保育園を選ぶなど難しい保活の時代が続いてきました。
しかし、この1〜2年で急速に、時代はずいぶん変わってきました。

近年、想定されたよりも少子化が急速に進み、メディアでも取り沙汰されていますが、2021年の出生数は81万人と過去最小までに落ち込みました。保育ニーズの需要と供給バランスでいえば、待機児童問題を背にずっと量的拡充が求められ続けてきた受け入れ「枠」という数や量の意味合いも、劇的に変化しようとしています。

コロナ禍も今年で三年目になりますが、この度の第7波の影響は凄まじく、子育て世帯の親御さんの働き方や保育所利用の決め所にも当然影響があります。
今、保育園側の状況としても、これから「選ばれる園であるために、どうしたらいいか」これが喫緊の課題になりはじめています。

しかしながら、私たちが運営する保育所というものは、あくまで福祉目的であり、その第一義は「子どもの最善の利益」にあります。それを傍に抱えて考えなければなりません。これが大事なのですが、保育園の運営を事業性だけ見ていては見誤る危なさもあるのが経営の難所だとも思っています。
当然ながら、子どもの最善の利益を保障するための、親御さんのための最善のあり方にもコミットしなければ存在意義すらないと思っています。

こうしたことに思いを馳せると、選ばれるためにどうするかではなく、地域の子育て家庭の皆さまに、お子さまの利益を確実に保障できる「必要とされる園」であり続けることが、これからの保育所の使命であるとひしひし感じます。

私たちが運営するといろきっず保育園は、0〜2歳児まで限定の小規模保育園です。
言い方を変えると、赤ちゃんから1歳児、2歳児専門の保育園です。(保育園では「3歳未満児」というのですが、年齢でいうなら3歳になる子もいるわけですが)

保活時代の真っ只中であった数年前までは、小学校に入るまで通して預けられる認可保育所をまず第一志望に考える保護者の方が、一次利用調整で保留となってしまい、駆け込み寺のように二次利用調整ではじめて「よく知らない小規模保育園も(仕方ないから)考えてみようか」と私たちといろきっずの門を叩いてくださった方が大半でした。

それが最近は、あえて「小さなうちは小さな保育園からスタートした方が良さそう」といった感覚を持ってくださる保護者の方も随分と増えてきたように感じます。
実際に、近年は私たちのような小規模保育園をとっかかりに保育園選びをはじめていらっしゃる方と出会えるようになりました。

小規模保育園の事業者として、長らく保護者の方の「選択肢」に入れてもらいづらかった経験から嬉しく思う部分もありますが、それ以上に、保育園選びが多様化し、子どもにとってどうだろう?我が家にとってどうだろう?を考える余地が子育て世帯に生まれはじめている。そのことの方が、喜ばしいことと思えるのです。

これは、待機児童問題の後ろでずっとないがしろにされざるを得なかった、子どもを主体に、子どもの育ちのあり方を起点に進路を考える余地が、やっと生まれはじめていることを意味しているからです。

そんな中、先日、保育界の第一線を走る高名な方々がお話しされる特大イベントが開催されました。

新しい保育イニシアチブ2022
https://hoiku-initiative.jp/event/hoiku2022/

このような集会自体が前代未聞で、各セッションのテーマを見るだけでも、いよいよ地殻変動が起きる時代の狭間感が見て取れます。

私もお邪魔しましたが、「新しい保育」の名のもとに、保育や幼児教育がこれから動き移り変わるムーブメントの芽を感じさせられました。

そして、待機児童問題を背負って成立していた事業としての前提が転換期となった今、保育園はこれまでどおりの今までの保育園では成り立たなくなることを、皆が感じながらそれぞれに日本の保育そのものを良くしていこう!と。これまでにはあまり見られなかった業界全体でのつながり、連動、共生、コラボレーション、そういった盛り上がりすら感じさせられる熱気がそこにはありました。

待機児童解消から次なるパラダイムシフトへ向かう中、全ての保育所が今、「第二創業期」を迎えているのではないか。そんな風に思います。それぐらいの大きな時代の潮目が保育園側では起きています。

さて、私たちは、小規模保育園のといろきっずと、発達に特性のあるお子さまのソーシャルスキルを育む児童発達支援、CYS schoolを運営しています。

この2つは事業が違い、制度上も目的も異なりますが、最も上位のレイヤーにある使命は全くおんなじで、「子ども一人ひとりの最善の利益」を保障することです。

子どもの利益は、そのお子さまを一番愛している親御さんの利益とイコールであるはずですし、あるべきです。そのパートナーとして私たちは存在しています。
お子さま一人ひとりの「個性」にただ魅了されたい。その子の毎日の一挙手一投足の意味を親御さんとともに分かち合いたい。その、たった一人の子どもだけを中心に、関わる大人、親も保育者も給食調理員も、本部職員も。法人代表の私も、一緒に全部を注ぎたい。

「全員保育」で、子どもたち一人ひとりの個性を下支えできる園、事業所、法人であることにこれからも全力を注ぎ続けたいと今、一層思いを強くしています。

行き着くのは、子どもたち、ではなくて、たった一人のその子が、他の誰でもなく、ひとりの人間として最高の存在である事実を尊ばれる環境の創造です。

保育園=園児一人ひとりの個性が最高の形で発揮され伸ばせる、最高の居場所。

主役は子ども一人ひとり。

親御さん、保育者である私たちも主体となり、全員保育で形作る子どもにとっての最高の居場所と生活を保障することに、これからも精進します。

コロナがなかったら、どう保育を発展させられたか。ない時を想定したら今の状態は停滞していることを意味しないか?進展させられているか?
では、ウィズコロナ禍でどう保育を発展させられるか。しているか。そこに尽力しているか。

目の前のことの対応に追われながらも、一番の本質、「子どもの最善の利益」と保護者の皆さまやご家庭にとっての最善、そして私たち保育者としての本分を全うする喜び。この三方を良しでありながら地域社会に貢献できる事業者であれるように、頑張りたいと思います。

タイトルに記した「子どもの個性を尊ぶ」というのが、子どもの最善の利益を保障する一番の方法だと思っています。

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