理念・考え方

子どもに対するアンコンシャス ・バイアスを取り払いたい

アンコンシャス・バイアスとは、無意識のうちに『こうだ』と決めつけてしまう思い込みのような意味だそうですが、私たち大人の子ども観におけるこれについて、しっかり考えねばと思ったりします。

子どもは大人が作り上げた現社会の中にいることになるので、大人たちの先入観や固定観念次第でいろいろと受ける影響も大きく変わってしまいます。

たとえば、子どもが少しでも「他の子と違う」「普通と違う」と感じる節目にあうと、どうしても発達を疑う方に行ってしまいがちです。
普通?いわゆる定型発達なのか、発達障害なのか、あるいはその間としてグレーゾーンとかいうやつなのか。

「結局どうなんだろう」「どういうタイプなのか」と、ついパターンの中に当てはめることで我が子を理解しようと考えてしまいますが、無理にそれに答えを求めず、自然に、他のだれでもない一人の子どもの個性を尊べる風潮が今よりもずっと普通だったら、どれだけ子どもも大人も楽しいだろうかと思います。

個人差の大きい未就学児(特に0・1・2歳児)を学年で区切って捉えようとするのも、大人がきめた大人主体のシステムです。

3月生まれと4月生まれ、1ヶ月どころかたった一日の生誕日の差で一学年子どもが身を置く環境が時にアドバンテージとなり、場合によってはハンデになる。年度という絶対単位は、大人都合であり、世界を見渡せば色々と見えてくるビミョーな話といえます。

なんでこんなに大人の路線に子どもを合わせさせる世の中なのでしょうか。

自分が子どもの時も同じ論理と秩序で育ったわけなのですが、当たり前を疑うと、とにかく子どもという一人ひとりの人間たちに越権行為を大人がしているという感覚に陥る私の方が変わり者なのかもしれないです。

子どもの個性は血液型のように種類などないので、まず、周りと比べるのではなく絶対的に向き合って全てを受容する姿勢が大人に必要なのではないかと思います。

世の中の大人がもっと「子ども」に対して関心を注ぎ、知見を広げたり、気持ちを向けたり尊んで、メディアで語られることの幅が広がったりすれば、もう少しこの社会認識は変わるのではないかとも感じます。

例えば、「HSC(Highly Sensitive Child」について知識として知っているだけでも、「気になる」の類で大人が子どもに向けるメガネを外して、子どもの発達や個性、その子が持っている可能性といったものを正面から感じ取り受容できる場合もあると思います。

あるいは、「慣らし保育」だとか、「一時預かり」だとか、「寝かしつけ」だとか、「遊ばせる」だとか、大人が主語になっている言葉を、全部、子ども主語の表現にひっくり返した世の中に置き換わったら。

今まで無意識に使ってきた言葉を単に行為の表現として子ども側に置き換えてみると、

「保育園生活に慣らされる」

「一時的に他人に預けられる」

「眠らされる」

「遊ばされる」

なんて、恐ろしい。

その場所、その場面、その景色は、子ども(の中のその子)からすればどのようなものなのか。就学前の保育や子育ては特に、大人の都合や大人としての価値観から矢印を子どもに向けるのではなく、子どもの理解から世の中に向けられた矢印を紐解いていく作業からはじまるべきではないかと思います。

日本は子どもの権利条約に批准していますが、そこに示される子どもの権利を一つ二つ見ていくと、なんだか大人である自分が世の子どもたち対して実に申し訳ない気持ちになります。

保育に携わる身でどれだけ「子どものために」「一人ひとりに寄り添って」と考えていても、大人主体の世の中で生活し、大人の頭のままで子どもの心を想像したところで、単なる決めつけに陥りかねません。そんな葛藤に悩まされる毎日です。保育という分野に携わっているから余計にそう思えるのだと思います。

踏み込んで言えば、子どもに対する見立てを保育士としての専門性によって導き出しているつもりで、無意識にこれまでの経験則や、関わったことのある他の子のエピソードを脇に、実は勝手に「決めつけているだけ」かもしれない。
保育の仕事は専門職であり経験や技術がものすごく大事でありながらも、時に、それが「子ども主体」のアプローチをする上で邪魔になることもあると思います。

だからこそ、保育園は先生たちの個々の経験則や認識・価値観をベースにした保育観はもちろん大事なのですが、それ以上に、さらに一つ上のレイヤーの”子ども観”から保育の実践へ落とし込んでいく「考え方の順番」が大切と思っています。
つくづく、保育は本当に難しく、専門的な職業と思います。(だからこそ面白いのですが)

大人が生命の保持・情緒の安定を近くで保障してくれる一方で、大人がいる限りコントロールされるような所にいるとすれば、子どもにとっての「自ら育つ」尊さへの代償はあまりに大きすぎます。

担任制というものは、場合によりますが良さとまずさが背中あわせです。
親としては、一人の先生がしっかり我が子を見てくれる、とメリットを感じますが、保育実践のあり方によっては、子どもの発達や心の育ちがその先生にかなり依存してしまうことにもなります。
といろきっずでもかつて担任制を取っていたこともありますが、この懸念に気づき、今は全員保育のモットーでやっています。常勤・非常勤関係なく、すぐそばにある調理室の給食の先生や、法人代表の私に至るまで、一つの園の一人の子に対して、先生全員が近い距離で関われる。多面的に様々な目と心と経験、技術を持ってその子のための関わりに考えを重ね合わせること。
小規模保育の良さはアットホームな雰囲気であることが先行してイメージされがちですが、それ以上に子どもの発達という面で言えば、まずグループサイズが小さいこと。そして、この多面的な子どもの見立ての実現にあると確信しています。

そういった思いから、といろきっずでは「子どもの個を尊ぶ『十人十育』」という保育理念を掲げ、大人に合わせさせるのではなく、子どもの気持ちや個性、その時々の思いを汲み取ることから展開する保育を目指し日々取り組んでいます。

「子ども一人ひとりに寄り添う」「子どもの最善の利益」という保育の世界で当たり前に大事にすべきと言われることを、言葉だけにしないために、まずは私たち自身のアンコンシャス・バイアスを疑い見つめ直しながら子ども一人ひとりと向き合っていたいところです。

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