保育型児童発達支援

保育型の児童発達支援と保育所等訪問支援

当社は小規模保育事業から始まったのですが、保育園を運営していると、必ず発達が気がかりな子、発達に凸凹が見られる子に出会います。

そこで、小規模保育のグループサイズが小さい良さをフルに活かして、統合保育を通じた「合理的配慮」を園運営全体で取り組むことになりますが、その子にとって、他の子にとって、さらに、職員(の丁寧な保育をどの子にも提供してあげたい想い)にとってベストと言える形を作りあげることはとてつもなく難しいです。

インクルーシブ保育といえば聞こえは良いのですが、誰にとっての保育園であるべきか?
インクルーシブ保育も統合保育も合理的配慮も、保育を行う側の大人主語のものですが、はじまりはそのアプローチを見つめ直すもののように思います。
一回その子の側になって、インクルーシブドな生活の場?人権も育ちのペースも自己を保証してもらえている場とはどんなものか。
私としては、ユニバーサルデザインという考え方の方がしっくりきます。

といろきっずは子ども一人ひとりの個を尊ぶ「十人十育」という保育理念を大切にしていますが、一人ひとりのために、というのは、突き詰めると「どの子にとっても」という意味になります。

小規模保育は保育制度の中で運営を行う認可事業なので、学年齢ごとの枠組みがあり、自治体が窓口となり利用決定を行う利用調整があり、
年度という絶対単位があり(子どもの育ちそのものとは本来無関係)、そもそも園としての指導計画の中に日課があります。環境構成をユニバーサルデザイン化できても、根本的な構造を変えることは難しいです。

そう悩んだ中で、個別的な発達支援が望ましい子については年カリや月案、週案といったものから展開される保育事業ではなく、一人の子どもに対するアセスメント、個別支援計画から展開していく障害児通所支援事業の児童発達支援で、小規模保育と同じグループサイズの小さな集団生活を通じて個→集団へとねらいと内容を展開していく枠組みを始めました。

保育型発達支援といろきっず
https://www.hhs-toirokids.com

保育型発達支援を立ち上げて一年になりますが、確かな手応えと可能性を感じています。
でもまだ、もっと、子どもたちのためにこんなことができるのではないか?こうしたらもっと良いのではないか?試行錯誤の連続で終わりがないです。
そういう意味では保育も療育もおんなじですが、大人ではなく子どもを起点に考えると、色々と世の中の当たり前にしばられて子どもの有益な機会を奪っているかもしれない、そんな社会と無力な自分に腹が立ちます。

さておき、といろきっずの小規模保育に通う子どもたち、児童発達支援に通う子どもたち、そして職員一同、喜怒哀楽いろいろありますが本当に毎日笑いあり、涙あり、それがまた楽しく、明日への連続性をみんなで共有しながら進んでいる実感が得られています。

しかしながら、保育型の児童発達支援を始めて一年、どうしても避けられない課題感があります。

といろきっずの児童発達支援の中で、すごく良くできる子。のその次は?その先は?

週の中で何日かは幼稚園や保育所に通っている子、といろきっずの児童発達支援だけ週5で通う子、そして、卒園して学齢期に上がっていく子。
児童発達支援の教室は小さくとも立派な社会ですが、ある子は一つひとつの行動の関連付けが強く「外の」場面では途端に別人となり本当は出来るのに出来なくなること、出来なくなる子。児童発達支援の支援者との距離感と幼稚園や保育所の先生との距離感との違いから置き去りとなる子。世の中でいう普通の子の一日の流れ、スピードにとてもついていけずに疎外感から自己肯定感を育むチャンスを削がれる子。
スモールステップで一つずつ行けばやがて、なのに…。
大人側からいえば移行支援ですが、その子本人にとっては般化のきっかけみたいなものが普通に用意されていない(分かってもらえていない)のが残念ながら今の日本の進学ルートだと思います。

インクルーシブ保育がどうこうよりも、インクルーシブな進路確立、保育・療育の垣根を超えた「インクルーシブな子育て環境と制度」の確立が大事なはずなのに。

そんな想いから、保育所等訪問支援事業の指定を受けて始めることになりました。
ただし、この事業自体が世の中的にも、連携先となる幼稚園・保育所ましてや小学校の先生方からすればマイナーというかあまり知られておらず、 自分たちだけのアイデアだけでは思うようには行かないのが現実です。

当面は教室に通う子どもたちやその保護者の方のための提供を想定していますが、保育事業と児童発達支援事業を行う一法人としては事業の垣根を超えた情報共有、職員研鑽機会の創出、スーパーバイズの機会、保護者支援の新しいモデル確立、色々と手さぐりですが子どもと家庭を中心に置いた横断的なサービスと支援の糸を結び合せる枠組みの模索を始めています。

親が共働きなら保育園、専業主婦なら幼稚園、というのが私たちが子どもの頃当たり前でしたが、すっかり前提は変わりました。
平成から令和となり、これから向こう30年、全く今からイメージができないような移り変わりがあるはずです。

子どもが、どの子も尊ばれ、社会と保護者から最良の選択とその機会がもたらされる世の中へ。

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