保育型児童発達支援

保育所・幼稚園の中だけでは難しい、発達が気になる子のための支援

当社は小規模保育事業から始まりましたが、保育園では必ず発達が気になる子に出会います。そうした場合、従来の保育のあり方では統合保育での対応が一般的です。自治体と保護者が認めればその子のための人員が追加配置されて、いわゆる合理的配慮のもとで対応にあたりますが、物理的に、その加配担当保育士はその子だけに対応することは不可能です。

そもそも、「対応」という表現も、加配して「対応しよう」とするアプローチ自体も、私は違うのではないかと思っています。この統合保育・合理的配慮をもって展開するやり方では、子どもにとって本質的で踏み込んだ発達支援のアプローチができるかと言えば、かなり難しいです。

一方で、私たちの運営する小規模保育という保育形態は、まさにそういった子どもたちのためにも非常に有効な発達支援の形を展開できるとかねてから考えていました。

例えば、食事についてこだわりが強かったり咀嚼の発達が他の子と比べてマイペースだったり、お昼寝や生理的なリズムが極端にケアを必要としたり、そういった細やかなことにも気を配りながら、先回りして発達支援を展開していく。それは、個人差や月齢差が大きい0〜2歳児のために個別に配慮をしながら常々、行っていることだったからです。

小規模保育の良さは家庭的な雰囲気=アットホームな保育環境をイメージされることが多いと思いますが、幼児教育・発達支援の観点では、活動のグループサイズが小さいことが非常に大きな意味を持っており利点とも言えます。

児童発達支援で展開する「小集団保育」という療育アプローチ

そのような思いから、個別的な発達支援が望ましい子について、保育所ではなく児童発達支援の枠組みの中で、小規模保育と同じように親子分離・集団生活の連続を通じた療育アプローチを展開する事業形態を作りました。それが保育型発達支援といろきっずです(現在横浜市青葉区・都筑区・緑区で3教室運営しています)。

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児童発達支援事業は、保育園と違う点として、そもそも「個」にフォーカスして発達支援を展開することが基本となります。
保育では、園としての全体的な計画があり、年齢ごとの年間指導計画や月間指導計画、週案があり、それら計画の中に子ども一人ひとりの保育におけるねらいと内容を設定していきます(集団→個)。

一方、児童発達支援は逆です。「●歳児クラス」といった学年のカテゴライズではなく、はじめから一人ひとりの子どもを起点にし、アセスメントを通じた個別支援計画の中に日毎の計画、先を見据えた活動へと支援を重ねていくものになります。それを、私たちが運営する保育型発達支援といろきっずでは、小規模保育と同じように一連の小集団生活の流れの中でねらいと内容を展開していく支援アプローチになります(個→集団)。


幼児期に集団生活を通じた早期療育がもたらせる意義

保育型発達支援といろきっずでは、おおむね1歳半~6歳(年長)までの児童定員10名に対して5~6名の職員で保育型の療育を行なっています。

職員一人に対して児童二人の割合になりますが、実際には職員一人につきどの児童を対応する、という考え方ではなく、サービス提供時間9:00~15:00の6時間を通じた小さなグループでの集団療育を基本としながら、その中に、朝のお集まりから主活動、給食、お昼寝、個別タイム、帰りのお集まり、といった一連の生活の流れを連続していきます。

療育を小集団での保育で行うことで、一人ひとりに十分な関わりができ、保育者だけでなくお友達との関わりの中で様々な支援や活動を行うことができます。


また、小さな集団といっても立派な「社会」です。その子らしい部分が表出しやすく、苦手なことだけでなく出来ること・得意なこと・すきなことまで詳細に観察、把握、記録し、毎日多くの経験を積み重ねていく支援の連続に結びつけていくことができます。


幼稚園や保育所の年齢クラスのような大きな集団の中では、日課の流れの早さや音の大きさといった様々な理由でついていけずに孤立したり、目立ってしまう児童であっても、その子なりの理解の仕方に配慮して、気持ちを尊重し、ゆっくりと関わっていけば、きちんと理解できるものなのです。
それだけ、本当に子どもが元来もっている能力というものは素晴らしく、日に日に着実な成長を見せてくれる姿には驚かされます。

私たちが大切にしている保育理念「十人十育」は、十人いれば十の育て方という意味ではなく、十人いれば十通りの「育ち方」があるという意味です。
子どもを育てるではなく、子どもが自ら持っている育つ力を発揮するためのサポートをするのが児童発達支援の本質だと思っています。

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