理念・考え方

「慣らし保育」という言葉への違和感

子どもが保育園に通いはじめて、親御さんとの分離生活、集団生活に慣れていけるように段階的に保育時間を延ばしていくことを慣らし保育と言います。

慣らし保育

これ、とんでもない言葉だと思いませんか?

それとも、何とも思わないのがフツーなのでしょうか。

この言葉は自然に使われていますが、とても大人目線で、大人の都合に子どもを合わせさせている社会をそのまま表しているようにまで思います。

慣らし保育に限らず、育児や保育の場面で使われる言葉は、大人が主語なものばかりです。

今まで無意識に使ってきた言葉の主語を子ども側に置き換えてみると、

慣らし保育

親との分離生活に「慣れさせられる」

寝かしつけ

眠りにつかされる

絵本の読み聞かせ

絵本を読み聞かされる

一時預かり(保育)

一時的に他人の手に預けられる

遊ばせる

遊ぶことを強いられる

途端に、自分が子ども側だったら何ともキツい状況下に押しやられる感じがします。

慣らし保育で言えば、我が子を保育園に預けることになって初めてその言葉や概念を知る親御さんがほとんどだと思います。
「そんなのがあるんだ」「すぐにでも職場復帰しなきゃなのに困った」
実際のところ、そういった感覚の方がまず先に来るかもしれません。

けれども、もっと、「子どもにとってどうだろうか?」を、私たち大人のことと同じように、あるいはそれ以上に考える余白が世の中に必要なのではないかと度々思います。

私たちといろきっずでは、慣らし保育ではなく子どもを主語にした「慣れ保育」といっていますが、この慣れ保育の、お子さんにとっての意味を保護者の方にお話しすれば当然ご理解くださります。

お子さんの保育園入園日と同時にフルスロットルで仕事に戻ろうあるいは就こうという頭でいた方も、職場との調整に動いてくださります。

しかし、その意思とは裏腹に、やはり難しい事情がしばしば出てきます。調整を試みたけれども「慣れ保育の期間をできる限り短くできませんか」となるケースは多いのです。
親御さんはお子さんのことを思っていますので、その先の「調整」とはつまり職場の理解ということになります。

職場と総じていいますが、勤め先は保育園や子育てとは無関係なことの方が多いわけであり、社員の個々の子育て事情に、さらには社員の子どもの「育ち」にまで配慮が行き届かない事情というのは、概ねのこの「社会」のパーセプションを表しているということです。

この、保育園や子育てに当事者としては利害関係のない大人さんたちの常識が変わらないと、日本の子どもは自己肯定感が育まれる機会を得づらいまま大人になっていく世の中であり続けるのではないでしょうか。

普段何気なく使っている言葉から考え直していかないといけないぐらい、大人都合社会、大人主権な世の中であることに危機感があります。

道路から違法路上駐車がなくなったら交通事故は激減する、とどこかで聞いたことがあります。

保育者や子どもの福祉に関わる人に限らず、社会の全ての大人が

「子どもを主語に置き換えて考えてみる」

をやってみたら、今が変わり、将来も変わると思います。

と偉そうにいっていても仕方ないですが、そんな気概で保護者の皆さまと、子育てと「子育ち」に携わっていきたいと思います。

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